Iさん、今も元気で過ごしているだろうか。
Iさんは、いつも軽く微笑んでいるような感じの人だった。
でも、私といつだったか二人で話しているとき、
「いっつも明るく見えますでしょ・・・? でもね、本当はそうでもないんですよ・・・。」
と、目に涙を潤ませて言ったときがあった。
Iさんは、とてつもなく苦労をした人生だった、と私に話した。
自分の人生を、肯定できないような、そんな感じも話の中で、私は思った。
でも、看護師長として定年まで勤め上げ、定年後は、さらに苦労をしたお母さんのためにと
ハワイ旅行を一緒にしたり、したそうだ。
ホームにいたときは80歳代だったが、いまだに元同僚がホームにIさんを訪ねてやってくる。
そのとき私は、Iさんの人徳を感じた。
私は、Iさんは看護師として、沢山の人のケア、キュアをしてきたと思う。
Iさんのことを一生忘れない患者さんだって、何人も、きっといるはずだ、って。
でも、Iさんは「仕事だから・・・。」と、そういうふうには思えないらしかった。
Iさんの涙を今でも覚えている。
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